礼拝説教 2007年3月25日

2007年3月25日 「キリストに向かって成長する」
出エジプト記 19:1-6
エフェソの信徒への手紙 4:12~16
古屋 治雄牧師
 早3月末となりました。教会もこの時期が節目となっています。今日は礼拝後に教会総会をひかえています。これによって私たちは、個々銘々と同時に、教会の全体的な顧みをなし、そして一つとなって新たな歩みに就きたいと願っています。
 教会生活をしている私たちはこの時期は同時に受難節の時となっています。主イエスの十字架への歩みを見上げつつ締めくくりをなし、また新しい展望に立つ時でもあります。
 主イエスの十字架の歩みを私たちはしっかり見続けることができているかというとそれ自身心許ないものです。主イエスは「あなたたちはわたしが行くところに来ることができない」と言われました。主イエスは特に弟子たちと関係を断ち切ろうとしてこう仰ったのではありません。どう頑張って努力しても私たちは十字架に向かって下さった主を見続けることができず、受けとめることができないことを主は厳粛に語っておられます。
 それでは主は弟子たちを拒絶しておられるのか?そうではありません。「あなた方は悲しむが、その悲しみは喜びに変わる」と言われています。自分の罪さえもしっかり受けとめることができない私たちにこのことを約束してくださいました。
 今年も確実に私たちにイースターが約束されています。ゲッセマネの園で主イエスが苦しみもだえ、汗が血の滴るように地面に落ちている時に、悲しみの果てに眠り込んでいた弟子たちは、切り捨てられず、なお確かに主イエスに招かれていたのです。十字架に向かっておられる主イエスは、弟子たち私たちを、その後に従ってくることができるように招いておられるのです。御自分独りで、孤高の中十字架に向かわれた。そういう面もあります。しかし、私たち一人ひとりがその歩みに結ばれている。悲しみが大いなる喜びに変えられることが先取りされているのです。
 2006年度私たちは「わたしたちは神のために力を合わせて働く者」というコリント書の御言葉を主題聖句に掲げて活動をつづけてきました。そして昨年の修養会でもこれに関連して、信仰生活が個々の「わたし」の信仰の確立と共に、「わたしたち」という教会共同体となって一つとされることを新たに教えられました。
 今年福岡中部教会は今年創立123年の歴史を与えられています。代々の教会は、そこに呼び集められている人々の努力や苦闘があるのですが、しかし最も大事な点は、教会が教会たり得ているのは人間の力ではなく、神の憐れみによると言わざるをえないのです。
 今朝のエフェソ書の御言葉から、私たちの教会にもその力が注がれており、その力は、私たちの教会を成長させてくださるのです。聖書で「成長」のたとえが語られるとき、このエフェソ書では、一人の人間の人格的な成長になぞえられられています。個々の「わたし」が呼び集められて「わたしたち」を形成していますが、その教会が一人の人格として成長する、というのです。「わたしたちは皆、神の子に対する信仰と知識において一つのものとなり、成熟した人間になり、キリストの満ちあふれる豊かさになるまで成長するのです。」
 教会ではいろいろな役割分担があります。これはただ皆の配置が適切かどうかだけの問題ではありません。聖書はどこで教会が一つになれるか、そもそも「人格的」なかたちと内容をもつことができるかというと、それは、私たちは神の力を、神の子キリストへの信仰と知識が増し加えられるこの一点において受けるとき、私たちは成熟した人格になり、成熟した教会へと成長できるのです。
 それから、教会がキリストの体としての「人格性」を十全に発揮していくために「愛に根ざして真理を語る」ことが指摘されています。主イエスが私たちにお示し下さった信仰、知識、真理は愛に根ざしたものでした。私たちの一般的語感からすると、愛と真理は必ずしも一致しません。しかし主イエスによって明らかにされ、教会が拠って立つ真理は、愛に根ざすものです。真理が確認されることは私たちがキリストに愛されていることが明らかにされることです。
 もう一点、今朝の御言葉の中で私たちからすると気になる言葉があります。一人の人が成熟した人間として成長するためには必ずいろいろな試練や誘惑にうち負かされない信念が必要です。教会が成長するためにもそのために闘いがあることを御言葉は隠していません。主イエスご自身も神の支配以外の勢力を闘われたのです。私たちはこの主イエスとまったく同じ闘いをすることはありませんが、しかし信仰に堅く立ち、主の教会を担うとき闘いがない訳ではありません。ここにおいても「神の子に対する信仰と知識において一つに」されることを求めるのです。
 2007年度、私たち福岡中部教会にこのような成長を約束してくださっていることを主に感謝して、この年度を力強く歩んで参りましょう。